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 2012年3月28日と4月6日付の拙稿で、日本人学生にとって秋入学があまり意味をもたないという持論を述べた。それに対する賛否は別として、秋入学は外国学生の立場からは、日本へ留学する際の障害をなくす絶好の改革であると主張する人々がいるらしい。私はそれに対して、以前より懐疑的である。

 ちょうど我々の研究室に2カ月間滞在中のプリンストン大学生2人にじっくりと意見を聞く機会があった。アメリカの場合、大学ごとにかなり制度が異なる可能性がある。したがって、以下は主としてプリンストン大学の話である(あらかじめお断りしておくと、正確さに欠ける点があるかもしれないが、あくまで日本の制度との大きな違いを理解してもらうことが目的なので、詳細は重要ではない)。

入学制度
 アメリカの大学は、個別の入試は課さない。その代わり、SATと呼ばれる全米標準試験を受ける必要がある。これは、英語の読解、記述(小論文を含む)、数学の3科目からなる総合試験と、教科ごとの科目試験(3科目以上選択)がある。彼らはプリンストン大学天文学科の3年生であるが、受験時に希望学科を記入することはあるが、実はあまり意味はなく、入学後3年生のときに専攻学科を決めるまでは、理科系、文科系という違いすらないようだ。

 受験時には学生1人当たり平均5~10校に願書を出す。個別の試験はないので、複数大学に同時申請できる。その際に面接に呼ばれる場合もあるが、実際に受けるかどうかは受験生の自由である。複数受験が可能であることから、ややもすれば、日本の大学入試のイメージとなっている「判定して落とす」ではなく、できるだけ良い学生にきてほしい、という大学側のスタンスの違いが感じられる。

授業料と住環境
 プリンストン大学では、入学後最初の2年間は全員が寮生活をすることとなっている(3年生からは強制というわけではないが9割近い学生がそのまま大学の寮や施設に住み続けるらしい)。その寮費・食費も含んだ年間授業料は5万ドル(400万円)と、きわめて高額である。しかし実際には、家庭の経済状況によって大幅に減額してもらえる(プリンストン大学では入学時の成績とは無関係に決まる)。完全に免除されているものから全額支払っているものまで、さまざまである。 ・・・ログインして読む
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筆者

須藤靖

須藤靖(すとう・やすし)  東京大学教授(宇宙物理学)

東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授。1958年高知県安芸市生まれ。第22期・第23期日本学術会議会員。主な研究分野は観測的宇宙論と太陽系外惑星。著書に『ものの大きさ』、『解析力学・量子論』、『人生一般二相対論』(いずれも東京大学出版会)、『一般相対論入門』(日本評論社)、『三日月とクロワッサン』、『主役はダーク』『宇宙人の見る地球』(いずれも毎日新聞社)などがある。

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