2012年07月25日
世情は大飯原発の再稼働を受けて、反原発の市民運動に火がついた。「事故の原因も未解明のままなのに」というのが、その言い分だ。事実、再稼働を決めた時点で、技術面を含めた事故の原因や安全管理体制の検証はいかにも不十分だった。
そうした中、番組は具体的で鋭い分析を見せた。7月23日に政府の福島第一原発事故調査・検証委員会(畑村委員会)の最終報告が公表されたが、その直前というタイミングも絶妙だった。
なんとお粗末な、は今回限りか
この番組を観た筆者の一番の感想は、「重大な安全管理なのに、なんとお粗末な」というものだ。これは皆同じだろう。
2Vと12Vのバッテリーの違いなんて、素人でもわかる。50ミリの空気圧配管にしても、70メートルもつないで大地震で一箇所も漏れないか、素人でも疑う。放射能でいったん汚染されたら、おいそれと物資を搬入できないのも自明だ。
ただし。これらはすべて「後付け」の感想だということを忘れてはならない。これに学んで、今後はお粗末でなくなるというのは、本当か。今後の安全システムは、多様な緊急事態に対応する柔軟性としぶとさ(ロバストネス)を、持てるのか。
仮に「似たような」大災害が近く襲うとして、わずかな条件の違いは当然生じる。「しまった、前回の経験からXには備えたが、X’への備えを忘れた」という後悔をするのではないか。
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