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インターネットの進展が人間の知的能力を劣化させる可能性

伊藤智義 千葉大学大学院工学研究院教授

前回の論考で、ブッシュという科学者が、70年も昔に「人類の知識の総量は驚くべき割合で増えている」ことを認識し、「このままでは、いつか自分たちが生み出した情報の洪水の中で溺れてしまう」ことを危惧して、Memexというシステムを提案したことを述べた。それはインターネットとして現実のものとなり、社会活動を支える重要なツールとして、爆発的な進展を遂げている。

 しかし、あまりにも急速な変化は弊害も生み出している。匿名のひぼう中傷やインターネット犯罪、システム障害による世界的な影響など、大小含めると、毎日のようにニュースになっている。人間の精神活動に対しては、インターネット依存症が、これからますます深刻になっていくものと思われる。

 ここでは、本質的な問題として、インターネットの進展が、当初の目標を通り越し、逆に、人類の知的活動に負の影響を及ぼしているのではないか、という点について言及してみたい。私たちは、溺れることなく情報の海の中を上手に泳ぐ技術は会得したけれども、逆に、立ち止まって自分の頭で考えることをしなくなった(できなくなってしまった)のではないか、ということである。

 それを強く意識させられたのが

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筆者

伊藤智義

伊藤智義(いとう・ともよし) 千葉大学大学院工学研究院教授

1962年生。東京大学教養学部基礎科学科第一卒、同大学院博士課程中退。大学院生時代に天文学専用スーパーコンピューター「GRAPE」の開発にかかわり、完成の原動力となる。現在は「究極の3次元テレビ」をめざし研究中。著書に、集英社ヤングジャンプ「栄光なき天才たち」(原作)、秋田書店少年チャンピオン「永遠の一手」(原作)、集英社新書「スーパーコンピューターを20万円で創る」など

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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