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EUの首席科学顧問に聞く「女性と科学」

高橋真理子 朝日新聞科学コーディネーター

欧州連合(EU)の欧州委員会は昨年12月、初の首席科学顧問(チーフサイエンスアドバイザー)にスコットランド首席科学顧問を務めていたアン・グローバー教授を指名した。7月にアイルランド・ダブリンで彼女にインタビューし、その主な内容は8月2日付朝日新聞朝刊のオピニオン面に「科学者は信頼できるか」のタイトルで掲載した。そこに書ききれなかった「女性と科学」の問題をここで取り上げたい。日本に比べると女性の活躍が目立つ欧州だが、抱える課題は共通すると痛感した。

 ダブリンで会ったのは、2年に1度開かれる欧州最大の科学フォーラム「ユーロサイエンスオープンフォーラム」が7月11日から15日までここで開かれたからだ。

拡大大ホールで講演するCERN所長のロルフ・ホイヤー教授

 今回は科学者やビジネスマン、政治家ら約5000人が参加、120件のシンポジウムが開かれた。講演者リストにはヒッグス粒子と見られる新粒子発見で世界中を湧かせたばかりの欧州合同原子核研究機関(CERN)所長ロルフ・ホイヤー教授、二重らせんの発見者として余りにも有名なジェームズ・ワトソン教授や宇宙論のリサ・ランドール・ハーバード大教授、ミュージシャンのボブ・ゲルドフ氏、さらに欧州委員会や各国政府の高官たちの名が並んだ。聴衆には、大学院生や若手研究者が多い。このフォーラムの開催に合わせ、ダブリン市内でさまざまな関連イベントも繰り広げられた。

 アン・グローバーさんは1956年、スコットランドのアーブロース生まれ。エジンバラ大学を優等で卒業し、アバディーン大学の分子細胞生物学科教授に。2006年から初代スコットランド首席科学顧問となり、2011年12月にこれまた初代のEU首席科学顧問に転じた。教授として研究も続け、「土壌汚染調査に利用できる光る細菌」を売るベンチャーを興した経験もある。彼女自身はすでに手を引いたが、会社は存続しているという。

 インタビューの最後に私が聞いたのは、「あなたのように高いポストにつく女性科学者を増やすにはどうしたらいいのか」という質問だった。

拡大アン・グローバーさん=Derek Knight氏撮影

 「女性は

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筆者

高橋真理子

高橋真理子(たかはし・まりこ) 朝日新聞科学コーディネーター

朝日新聞 科学コーディネーター。1979年朝日新聞入社、「科学朝日」編集部員や論説委員(科学技術、医療担当)、科学部次長、科学エディター(部長)などを務める。著書に『重力波 発見!』『最新 子宮頸がん予防――ワクチンと検診の正しい受け方』、共著書に『村山さん、宇宙はどこまでわかったんですか?』『独創技術たちの苦闘』『生かされなかった教訓-巨大地震が原発を襲った』など、訳書に『ノーベル賞を獲った男』(共訳)、『量子力学の基本原理 なぜ常識と相容れないのか』。

 

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