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これからの省エネのキーワードはコラボ

小林光 東京大学教養学部客員教授(環境経済政策)

今年の夏は、去年と異なり、お盆以降、日を経るに従って気温の平年値を上回る幅が大きくなるという、厳しい残暑が続いている。

 この残暑にもかかわらず、節電が今年も熱心に進められている。7月一杯のデータであるが、東京電力管内では、節電した昨年に比べても今年は、電力全体の販売量では6.5%、家庭用について限れば14.5%ものそれぞれ大きな減少となった。供給余力が少ないと心配されていた関西電力管内では、同じく電力全体で10.6%、家庭用のみでは16.9%の節電になった(朝日新聞8月21日朝刊報道による)。

 ちなみに我が家でも、2010年の8月初旬検針での月間購入電力量(太陽光発電分を売却した分を差し引いた純買電量)に比べ、昨11年は、12.5%、今年は、40.3%(昨年比では、31.7%の減)とそれぞれ大幅な節電ができた。

 明らかに、国民の意識や行動は変わった、というべきであろう。また、国民や企業がそうした新しい目で周囲を見渡すと、あちらこちらに節電の機会があった、と言うべきでもあろう。

 筆者のように、環境に関心を寄せる者にとっては、エネルギーの消費量減少はもちろん嬉しいが、それは、単なる減少率の数値として嬉しいだけなのではない。

 実は、エネルギー消費全体が減る中で再生可能エネルギーによって供給されるエネルギーの量を維持さえすれば、エネルギー全体としての炭素密度が黙っていても減り、その結果、温室効果ガスであるCO2の排出量は、相乗的に減るのである。CO2の排出量は、

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