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宇宙月間に考える技術者の倫理~大事故の背後に共通課題が見える

伊藤智義 千葉大学大学院工学研究院教授

9月12日は「宇宙の日」だ。この日から10月上旬の「世界宇宙週間」までの1カ月は「宇宙の日ふれあい月間」とされ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)など関係機関で様々な催しが行われている。宇宙ファンにとっては楽しみな時期である。

 宇宙開発には明るい未来を感じさせる。しかし、当然ながら、その裏側には、苦闘もあれば悲劇もある。近年、大学の工学系教育においては、技術者倫理の重要性が増している。関連する授業において、必ずといってよいほど例示されるのが、1986年1月28日に起きたスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故である。7人の犠牲を出した惨事であり、日本人宇宙飛行士に対しても少なからぬ影響を与えた。

 一方、私たちは、福島第一原発事故において、高度な科学技術に支えられたシステムが崩壊していく様を目の当たりにした。強く印象づけられたことはいくつもある。些細な要因が大事故を引き起こすこと、事前に危険を訴えていた科学技術者がいたこと、データがないことを都合良く解釈してしまうこと、技術の信頼性を越えたところで判断されてしまうこと…などなど。実はこれらは福島第一原発事故特有の現象ではない。チャレンジャー号事故に数多くの類似点がある。両者に共通する課題をつきつめていくと、技術者としての責務と強い自覚、それを支える社会における技術者の立場や地位に思い当たる。

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筆者

伊藤智義

伊藤智義(いとう・ともよし) 千葉大学大学院工学研究院教授

1962年生。東京大学教養学部基礎科学科第一卒、同大学院博士課程中退。大学院生時代に天文学専用スーパーコンピューター「GRAPE」の開発にかかわり、完成の原動力となる。現在は「究極の3次元テレビ」をめざし研究中。著書に、集英社ヤングジャンプ「栄光なき天才たち」(原作)、秋田書店少年チャンピオン「永遠の一手」(原作)、集英社新書「スーパーコンピューターを20万円で創る」など

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