2012年09月19日
宇宙開発には明るい未来を感じさせる。しかし、当然ながら、その裏側には、苦闘もあれば悲劇もある。近年、大学の工学系教育においては、技術者倫理の重要性が増している。関連する授業において、必ずといってよいほど例示されるのが、1986年1月28日に起きたスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故である。7人の犠牲を出した惨事であり、日本人宇宙飛行士に対しても少なからぬ影響を与えた。
一方、私たちは、福島第一原発事故において、高度な科学技術に支えられたシステムが崩壊していく様を目の当たりにした。強く印象づけられたことはいくつもある。些細な要因が大事故を引き起こすこと、事前に危険を訴えていた科学技術者がいたこと、データがないことを都合良く解釈してしまうこと、技術の信頼性を越えたところで判断されてしまうこと…などなど。実はこれらは福島第一原発事故特有の現象ではない。チャレンジャー号事故に数多くの類似点がある。両者に共通する課題をつきつめていくと、技術者としての責務と強い自覚、それを支える社会における技術者の立場や地位に思い当たる。
まず、
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