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DNAはやはり「リン」にこだわっていた ~ヒ素微生物のその後~

武村政春 東京理科大学准教授(生物教育学・分子生物学)

 2010年12月はじめにNASAが発表した「宇宙生物学上の発見」、すなわち「リンのかわりにヒ素を用いて育つことができる微生物」の生物学的に重要な発見について、かつてWebronzaで記事を書いた。

 カリフォルニア州のモノ湖において発見された「Halomonadaceae」(ハロモナス科)に属する細菌GFAJ-1が、DNAの中にヒ素を取り込む、すなわち“食べる”(と表現された)可能性があるとするNASAの研究者Wolfe-Simon博士らの論文が、世界的に有名な科学誌『サイエンス』のオンライン版に掲載されたことに関する記事だった。もう一度、当時の論文をお浚いしておこう。

 この細菌GFAJ-1が興味を引いたのは、まずは「リン(P)」という元素が「存在しない」条件でも生息するということだった。なぜなら、すべての生物は遺伝子としてDNAを持っており、DNAにはリンが必須だからであった。じゃあなぜこの細菌がリンが「存在しない」条件でも生息できたのかと言うと、リンが本来重要な役割を担っているはずのDNAの中に、何と「ヒ素(As)」を取り込んでいたからだと思われたのだった。

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筆者

武村政春

武村政春(たけむら・まさはる) 東京理科大学准教授(生物教育学・分子生物学)

東京理科大学大学院科学教育研究科准教授。1969年三重県生まれ。1998年名古屋大学大学院医学研究科博士課程修了。博士(医学)。名古屋大、三重大の助手等を経て現職。専門は生物教育学、分子生物学、細胞進化学。著書に「レプリカ~文化と進化の複製博物館」(工作舎)など多数。【2015年10月WEBRONZA退任】

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