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内部被曝がゼロかどうかわかる検査はない

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

放射線を測る装置はいろいろあるが、体の中の放射性物質の量を測るにはホールボディカウンター(WBC)という大がかりな装置が必要になる。高価で数が少ない、周囲の放射線量が高いところでは正確な値が出ない、調整がいい加減なまま使っている例がある、などの問題点が指摘されてきた。そこに流れてきたのが「福島県郡山市の病院が短時間で内部被曝の検査ができる最新装置を購入し、11月から検査開始」というニュースだ。空港の手荷物検査場にあるようなゲート型の装置の中に立つと、セシウムの内部被曝量を測定できるという。9月24日のNHKニュースを見た人がツイッターで「本当だろうか」と物理学者に問い合わせると、たちまち「これはWBCではない」というコメントが複数の専門家から出た。それではいったい何なのか?

 ガイガーカウンターは放射線の数を数えるだけの器械だ。WBCは、ガンマ線の数をエネルギー別に測る。エネルギーがわかると、セシウムから出たものか、カリウムから出たものか区別がつく。そこから体内の放射性セシウムの量を計算ではじき出すのがWBCだ。ただし、その計算をするソフトウエアは妥当か、検出器が正しくエネルギーを測っているか(ずれていないか)、周囲の放射線をきちんとシャットアウト(遮蔽)しているか、つまり体の内部からきた放射線だけを測っているか、など専門家が確認すべき事項は多い。一言で言えば、内部被曝は簡単には測れないのである。とくに周囲の放射線量が高くなっている地域では難しい。

 NHKの報道によると、

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