2012年10月05日
事の始まりは、琉球大のチームが科学誌「ネイチャー」の姉妹誌「サイエンティフィック・リポーツ」に8月9日付で発表した論文である。タイトルは「ヤマトシジミに対する福島核事故の生物学的インパクト」(The biological impacts of the Fukushima nuclear accident on the pale grass blue butterfly)で、10ページある。英語論文だが、無料で読める。論文要旨によると、「日本に普通にいるヤマトシジミへ原発事故が生理的・遺伝的影響を引き起こしていることを示す。2011年5月に、福島県内で成虫を採集、その内には比較的軽度の異常を示しているものがあった。その成虫を交配した2世代目はより重大な異常を示し、その子孫に遺伝した。同年9月に採集した成虫は5月よりも重大な異常を示した。同様の異常は、汚染されていない場所の個体において外部・内部被ばくさせることで実験的に再現した。この種に福島原発からの人工的核種が生理的・遺伝的ダメージを与えた、と結論する」という。これは大変だ……。
日本国内では8月10日に共同、時事の両通信社が伝えたが、それほど注目されなかったようだ。ところが、海外のメディアはここぞとばかり飛びついた。まずBBCだ。「福島のチョウに『重大な異常』」と、羽が萎縮した写真を載せた記事を8月13日に出した。
同日にCBS、スペイン・エル・ムンド、ついで14日にはCNN、英国タイムズ、英国テレグラフ、AFP、フランス・リベラシオン、同ル・モンド、ドイツ・シュピーゲル……いずれもオンラインで知るのみだが、欧米では相当派手に報道されたのではないだろうか。
実は、
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