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続・ガードン博士は山中教授なしにはノーベル賞を受賞できなかったか?

佐藤匠徳 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

ジョン・ガードン博士は、1962年にカエルの成熟細胞の初期化(リプログラミング)に成功し、クローンカエルを誕生させた。その後、哺乳類でもできないかと実験が繰り返されたが、「できた」と主張するカール・イルメンゼー博士の信用性に疑いがかかり、「哺乳類では不可能」というのが定説となってしまった。

 突破口は思いがけない方向からやってきた。米国シアトルにあるフレッドハッチンソン癌研究所(Fred Hutchinson Cancer Research Center)のハロルド・ワイントローブ(Harold Weintraub)博士の研究グループが、大人の皮膚やさまざまな組織の細胞の核にMyoD(マイオ・ディーとよぶ)という筋肉の細胞の核内に存在するたんぱく質を入れると、全ての細胞が筋肉の細胞になるという発見を1986年に発表した(Cell 47:649-656, 1986)。

 つまり、たったひとつの筋肉由来のたんぱく質を放り込みさえすれば、さまざまな細胞をすべて筋肉細胞に変えることができるわけである。この発見は当時、世界中の研究者を驚愕させた。これを契機に、全能性を失った成熟細胞を初期化、あるいは他の細胞種へと変換(現在この現象はダイレクトリプログラミングとよばれている)させる研究が再度ブームをむかえた。

 しかし、

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筆者

佐藤匠徳

佐藤匠徳(さとう・なるとく) 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)佐藤匠徳特別研究所 特別研究所長。独立行政法人 科学技術振興機構(JST)ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括・米国コーネル大学教授・豪州センテナリー研究所教授(兼任)。1985年筑波大学生物学類卒業後、1988年米国ジョージタウン大学神経生物学専攻にてPh.D.取得。ハーバード大学医学部助教授、テキサス大学サウスウエスタン医科大学教授、コーネル大学医学部Joseph C. Hinsey Professorを歴任後、2009年に帰国、2014年まで奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)バイオサイエンス研究科教授。2014年7月にNAIST退職後、2014年8月1日より現職。専門は、心血管系の分子生物学、ライブ予測制御学、組織再生工学。【2017年6月WEBRONZA退任】

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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