2012年10月12日
突破口は思いがけない方向からやってきた。米国シアトルにあるフレッドハッチンソン癌研究所(Fred Hutchinson Cancer Research Center)のハロルド・ワイントローブ(Harold Weintraub)博士の研究グループが、大人の皮膚やさまざまな組織の細胞の核にMyoD(マイオ・ディーとよぶ)という筋肉の細胞の核内に存在するたんぱく質を入れると、全ての細胞が筋肉の細胞になるという発見を1986年に発表した(Cell 47:649-656, 1986)。
つまり、たったひとつの筋肉由来のたんぱく質を放り込みさえすれば、さまざまな細胞をすべて筋肉細胞に変えることができるわけである。この発見は当時、世界中の研究者を驚愕させた。これを契機に、全能性を失った成熟細胞を初期化、あるいは他の細胞種へと変換(現在この現象はダイレクトリプログラミングとよばれている)させる研究が再度ブームをむかえた。
しかし、
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