2012年10月27日
以前、知的生産力は物的生産力のピークより遅れてやってくること、日本はバブル崩壊の1990年頃に物的生産のピークがあり、その10年後、つまり2000年以降にノーベル賞受賞者が増大していることから、やはりこの傾向に当てはまることを記事にした(WEBRONZA2012年1月13日「日本人は独創的でない」に根拠なし)。
山中氏が受賞したことで日本人のノーベル賞受賞者は19人となり(2008年に米国籍で受賞した南部氏も日本人に含めた)、上記傾向にさらに拍車がかかったようにも思う。この19人を出身大学別に分類してみた(図)。山中氏は神戸大を卒業したので、この分類では神戸大出身となる。
この結果から以下の傾向が見て取れる。
1) 上述した通り、2000年を過ぎてから受賞者が増大している。2000年以前は、1949年の湯川秀樹氏から1994年の大江健三郎氏まで8人、つまり、45年間で8人しかいないが、2000年以降は、12年間で11人が受賞している。
2) 出身大学別では、東大7人、京大5人、名古屋大2人の順となっている。自然科学3分野に限れば、京大5人、東大3人、名古屋大2人の順となる。
3) 自然科学分野に限ると、京大だけが1949年の湯川氏以降、散発的に(平均すると10年に1人の割合で)受賞しているのに対して、東大、名古屋大などは2000年以降に集中している。
以上から、「京大は理系のノーベル賞受賞者が最も多く、受賞者は10年に1人の割合で出現する」というユニークな特徴を持つことがわかる。
私は、1981~1987年までの6年間、京大に在籍した。その皮膚感覚からすれば、この特徴は「さもありなん」である。その根拠は以下の通り。
京大に入学してまず感じたことは、
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