2012年11月03日
日本でELSIというキーワードがよく聞かれるようになったのは、平成16年度科学技術白書で取り上げられてからだと思う。私が、このキーワードに出くわすたびに思うのは、「法」と「倫理」とはどのように区別しているのだろうかという点である。私も、「法」という言葉を使っているものの、「法」を定義することは、実は簡単ではない。「岩波哲学・思想辞典」の「法」をひいてみると、のっけから、「法学者は未だに法の定義を求めている(カント)」と書いてあるくらいである。ちなみに、「倫理」はというと、「倫理学」という項目名で「人間のよい生き方を問い、それを吟味する学」とされている。
ELSIについて、法律家が「倫理」についても語ると期待されているように感じることがあるが、実は、法律家は、倫理学が求めるような「よい生き方」、もしくは「よき社会、よき文明」のような問いについては、シニカルな態度を持っているように思う。
科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター(RISTEX)のあるプロジェクトで、
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