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原発事故:成人後発症の甲状腺がんも全額補償に

片瀬久美子

昨年3月の東京電力福島第一原発事故の被災者が国に対して、健康被害に関する賠償請求をしても、国がその対応を渋るのでは、という疑念を持つ人が広がっています。長期的には、低線量被ばくによるがんの発症が懸念されるわけですが、がんは、原発事故がなくても一定の割合で発症するため、今回の事故によって本当にがんになったのかどうか、その因果関係の立証はかなりの困難が予想されます。

 そのため「たとえがんになっても、個別には因果関係の証明はできないだろう」とみている医者や科学者も多いのですが、そういった学者たちを「国の被害隠蔽に加担しようとしている」などと見なしてバッシングを始める人達も増えてきており、市民の間にも不毛な対立がもたらされています。

 健康被害と原発事故との因果関係については、論争をしても水俣などの例を見るまでもなく、長引くだけであることは明らかで、論争の決着を待っていても被災者の救済は進みません。まずは、『被災者救済』を最優先に考えた政策を国に求めていくことが先決です。

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