2012年12月11日
セシウムは土壌などにしっかり吸着する性質があり、水中にはほとんど存在しないことがチェルノブイリ事故以来の経験でわかっている。チェルノブイリ事故被災地でも、飲料水はほとんど汚染されなかった。今年春に日本各地で講演したベラルーシ科学アカデミーのミハイル・マルコ氏(欧州放射線リスク委員会=ECRR=委員)が、「水道の汚染が心配だ」という会場からの質問に「チェルノブイリでも飲料水は問題なかった」と断言していたのが印象に残る。
実際、ウクライナ保健省が1997年に承認した許容濃度は、ミルクは1リットルあたり100ベクレルまでだったのが、飲料水は2ベクレルまで。逆にいえば、水であれば1リットルあたり2ベクレル以下のものが容易に入手できたことが伺える。
セシウム吸着力がひときわ強いのが、紺青(プルシアンブルー)と呼ばれる青色の人工顔料だ。チェルノブイリ事故被災地では、これを家畜の飼料に混ぜて、ミルクや肉からセシウムを減らすという対策をしてきた。
東京大生産技術研究所と不織布メーカー・小津産業(本社・東京)は、不織布の上で紺青を直接合成し、大量生産する方法を見つけたと12月4日に記者発表した。価格は1平方メートル当たり約千円で、従来品の5分の1程度になるという。福島県飯舘村で、セシウム濃度が1リットルあたり20ベクレルの雨水に一晩浸し、5ベクレル未満まで下がるのを確かめた。
三井化学産資と大日精化工業は、別の方法で紺青不織布を作っており、
有料会員の方はログインページに進み、デジタル版のIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞社の言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください