湯之上隆
2012年12月24日
スマホの爆発的普及によりPCが売れなくなり、その結果、PC用半導体プロセッサを基幹事業としているインテルは苦境に陥った。
これまでPCを独占する礎だった米マイクロソフト(MS)との「Wintel」連合も崩壊した。MSは、今売出し中のWindows8を、インテルだけでなく英ARM系のプロセッサでも動くようにしたからだ。
その上インテルは、2000年前後から携帯電話用プロセッサに進出しようと企業買収や提携を繰り返してきたが、すべて失敗している。その結果、現在、インテルのスマホ用プロセッサの世界シェアはたった0.2%しかない。
企業買収や提携による新規事業に十数年も失敗し続けている原因には、3代目CEOアンドリュー・グローブが築き上げた強固な“インテルカルチャー”があげられると私は分析している(図1)。
「パラノイア(偏執狂)だけが生き残る」という名言で知られるグローブは、恐怖政治と強烈な中央集権体制を確立することにより、全社員のすべてのエネルギーを搾り取り、徹底的にPC用プロセッサに集中させた。
グローブの前では「誰もがこき下ろされ」、「人々は怯え」、「一度決定したら一切覆すことができず」、「彼のやり方ですべてのものを押しのけて進み」、「邪魔者は切り捨てられた」(ロバート・A・バーゲルマン著『Intelの戦略』ダイヤモンド社)。
このようなグローブの偏執狂的マネジメントが
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