2012年12月28日
異才望月教授の大論文
望月氏の異才ぶりは仄聞していた。「代数曲線の基本群に関するグロタンディーク予想」という難問を1996年までに解決、98年にベルリンで開かれた国際数学者会議(IMC)に招待されて講演(これは数学者にとって一大イベントである)したというし、この夏もある数学者から、2006年マドリードでのIMCで彼のフィールズ賞受賞が期待されていた、という話も聞いていたのだ。
今年、4編総計500ページほどの論文「宇宙際タイヒミューラー理論(Inter-universal Teichmuller Theory)」を望月氏が8月30日に自らのホームページ上に発表した。ほとんど専門家しか知らなかったが、9月10日、科学ライターのフィリップ・ボール氏がネイチャー誌で「素数同士の深い関連に証明 数全体についてのABC予想の解は、本当なら、『驚くべき』業績」というニュース記事を書いた。それを追いかけて、ニューヨークタイムズ紙も日本の主要紙も望月氏の業績を報道したのである。
ABC予想とはなにか
「ABC予想」という数学の問題は、
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