2012年12月31日
だが、不思議に思うことがある。最初の首相就任のときにあれほど連呼した「イノベーション」が今回はさっぱり聞こえてこないのである。総理就任会見での冒頭発言でも、この単語を口にしなかった。6年前は、こちらの耳にタコができるほどイノベーションと言い続けていたのにどうしたのだろうか。イノベーションはもはや必要ないと考えて、公共事業頼りの経済を「取り戻す」なんて考えているのだろうか。
06年に小泉純一郎元首相のあとを受けて首相に就任したときの「アベノミクス」は、減税を目指し経済成長を重視する政策を指した。今回は消費税増税が既定路線なので、金融緩和を日銀に求め、「国土強靱化」という言葉を使って公共事業の復活を目指している。しかし、消費税増税は国の赤字を減らすためにするのに、一方で借金を増やして公共事業をやると言っているのは、全体として見たらわけがわからない政策である。「アベノミクス」などという呼び名でもてはやしている側もどうかと思う。
最初の首相就任時を振り返ると、安倍さんは「イノベーション担当大臣」というポストを新設し、そこに今回政調会長に抜擢した高市早苗氏を充て、すぐに長期戦略指針「イノベーション25」の策定を指示するなど、矢継ぎ早にイノベーション推進政策を進めたのだった。今回、イノベーション担当大臣はいない。「○○担当大臣」はいくつも新設したが、目玉は「国土強靱化担当大臣」である。路線変更は明瞭だ。
もっとも、イノベーション推進は安倍さんの専売特許とは言えない。2004年に
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