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昨年12月に出版した『電機・半導体大崩壊の教訓』で、「つくったものを売る」のではなく、「売れるものをつくる」ことを主張した。「売れるものをつくる」には、「売れるものは何か」を見つける必要がある。すなわち、新市場を創出しなければならない。

 すると、本を謹呈した方から「その新市場は何処にあるのか?それを書かなければ意味がない」とお叱りを受けた。

 「それを考えるのが企業にいるあなたの仕事だろう」と大いに憤慨したが、年末年始に「新市場を見つけるにはどうしたら良いのか?」と言うことを考え続けた。

 そして、そのヒントになりそうな本を見つけた。それは、自宅近くの小さな書店で買った三宅秀道著『新しい市場のつくり方』(東洋経済 、2012年10月)であった。

 三宅氏の論説は私にとって新鮮だった。まず、三宅氏は、新市場ができるとき最初になされるのは、ヒトの新しい生活習慣や振る舞い、つまり「新文化の開発」であり、そのためには「問題の発明」が必要だと主張する。

 問題の発見ではなく、発明であることがミソである。発見とは、例えば「新大陸の発見」のように、既に存在しているものを見つける行為である。しかし発明はそれとは異なり、例えば特許のように、それ以前には世の中に存在していない価値を生み出すことである。

 技術開発が必要になるのは、問題が発明された後である。したがって、新市場をつくるためには(少なくともその初期には)、技術は一切必要ないと断ずる。まして、「日本の技術力は高い」と言うような技術神話は、問題の発明には百害あって一利なしだから一旦忘れてくださいと論じている。

 具体例として、

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筆者

湯之上隆

湯之上隆(ゆのがみ・たかし) コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

1987年京大修士卒、工学博士。日立などで半導体技術者を16年経験した後、同志社大学で半導体産業の社会科学研究に取り組む。現在は微細加工研究所の所長としてコンサルタント、講演、各種雑誌への寄稿を続ける。著書に『日本半導体敗戦』(光文社)、『電機・半導体大崩壊の教訓』(日本文芸社)、『日本型モノづくりの敗北-零戦・半導体・テレビ-』(文書新書)。趣味はSCUBA Diving(インストラクター)とヨガ。 【2016年8月WEBRONZA退任】

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