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「まともな除染」を目指した私が頓挫した経緯

湯之上隆 コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

朝日新聞が1月4日付け朝刊で「手抜き除染、横行」と報じたことがきっかけとなり、環境省は、福島県飯舘村と楢葉町で昨年12月中旬に行われた除染作業で、使用した水を回収しなかったケース2件を確認した。舗装面の洗浄の際に水の一部が側溝に流れ込んだり、住宅のベランダで高圧洗浄機を使う際に水を回収する措置を怠ったという。

 道路や建築物の除染には多くの場合、高圧洗浄機が使用されており、汚染水が垂れ流されたケースは上記2件だけではないだろうと想像する。水をぶっかければ、当然セシウムは水と共に飛散する。「これは悲惨だ」などと洒落を言っている場合ではない。万物の霊長であるところの人間サマなら、もっといい知恵があるはずだろう。

 知恵を出すべきだと考えた私は、新しい装置の開発、実用化に突き進んだ。しかし、あえなく頓挫した。今回はその事情をお話ししたい。それを知っていただくと、除染の現実が見えてくると思うからだ。

 そもそも、除染とは何か?(今更なんですが)。

 今問題となっている道路や建築物の除染とは、一言でいえば、「セシウムの移動」である。

 もう少し丁寧に言えば、道路や壁に付着しているセシウムをそこから引っぺがし、収集し、人間が被ばくしない場所に移動することである。

 この定義にしたがえば、高圧洗浄機で水をぶっかければ「引っぺがす」ことは可能かもしれないが、収集することが困難なことは小学生にだって容易に予測できる。それなのに、なぜそんな方法を取るのか?もっといい方法があるだろう。知恵を絞れ、工夫をせよ、…、と普通は考えるじゃないですか。

 私が仲間たちと考えた方法を示そうと思う。その前に、 ・・・ログインして読む
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筆者

湯之上隆

湯之上隆(ゆのがみ・たかし) コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

1987年京大修士卒、工学博士。日立などで半導体技術者を16年経験した後、同志社大学で半導体産業の社会科学研究に取り組む。現在は微細加工研究所の所長としてコンサルタント、講演、各種雑誌への寄稿を続ける。著書に『日本半導体敗戦』(光文社)、『電機・半導体大崩壊の教訓』(日本文芸社)、『日本型モノづくりの敗北-零戦・半導体・テレビ-』(文書新書)。趣味はSCUBA Diving(インストラクター)とヨガ。 【2016年8月WEBRONZA退任】

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