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スパコン報道にみる科学技術を伝える難しさ

伊藤智義 千葉大学大学院工学研究院教授

たまたま放映していたスーパーコンピューター「京」を取り上げた報道番組を観た。要約すれば「スパコンは世の中を劇的に変える」という内容である。科学技術は明るい未来を示してほしいという報道の意図はわかるが、行き過ぎた賛辞は世間をミスリードしかねない。

 これはスパコンに限ったことではなく、科学技術を扱う番組においては往々にして起こることである。制作側はその分野の第一人者に研究意義を問う。研究者は当該分野を代表する人であればあるほど、自ら関わっている研究の重要性を強調する。それはごく自然なことである。その際、ある程度その研究分野を客観視できる人が制作側にいないと、バイアスのかかった報道になってしまう。

 今回は、GPUの入門書を編纂しながら思いを巡らせたスパコンの現況を、少々辛口にお話しさせて頂きたい。

 コンピューターで演算機能を担っているのは、中央演算処理装置CPU(Central Processing Unit)である。ところが、ゲームや映像の高画質化が進むにつれて、グラフィックス処理が膨大になってきた。そこで、近年のコンピューターでは、グラフィックス処理をCPUから切り離してGPUに行わせている。

 グラフィックス処理には、 ・・・ログインして読む
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筆者

伊藤智義

伊藤智義(いとう・ともよし) 千葉大学大学院工学研究院教授

1962年生。東京大学教養学部基礎科学科第一卒、同大学院博士課程中退。大学院生時代に天文学専用スーパーコンピューター「GRAPE」の開発にかかわり、完成の原動力となる。現在は「究極の3次元テレビ」をめざし研究中。著書に、集英社ヤングジャンプ「栄光なき天才たち」(原作)、秋田書店少年チャンピオン「永遠の一手」(原作)、集英社新書「スーパーコンピューターを20万円で創る」など

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