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「説明」と小林秀雄について思ったこと

内村直之 科学ジャーナリスト、北海道大学客員教授

科学についての文章を新聞や雑誌に書き続けてきて、このごろ「説明」ということを改めて考えている。説明とは、実は大変に幅広く、多様であり、その方向性さえもかなり違う場合がある。

 自然科学の研究者に説明を求めてみよう。たとえば、いろいろな研究のプレスリリースに見られるように、多くはメカニズムの説明だ。遺伝子的に、分子的に、素粒子的に……どういう「役者」がどういう「プロット」でどういう「芝居」を見せるのか、そして(取ってつけたように)どういう「役に立つ」のかを描写してみせている場合が多いだろう。私たち、科学記者は、その「説明」を、さらに普通の人に「分かりやすいように」当たらずといえども遠からぬ比喩を使ったり、社会的影響を考えてみたりして、その内容を噛み砕き続けてきた。書いている自分自身「どうも腑に落ちないなあ」と思いながらも、付け焼刃で知ったかぶりをする場合も少なくなかったことを告白する。

 実は、「わかる・理解する」とか「説明する」というのは、科学という文脈のなかで相当な「大仕事」なのだ。科学哲学者の書いた本を見ると、 ・・・ログインして読む
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筆者

内村直之

内村直之(うちむら・なおゆき) 科学ジャーナリスト、北海道大学客員教授

科学ジャーナリスト、北海道大学客員教授。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程満期退学。1981年、朝日新聞入社。福井、浦和支局を経て、科学部、西部本社社会部、科学朝日、朝日パソコン、メディカル朝日などで科学記者、編集者として勤務し、2012年4月からフリーランス。興味は、基礎科学全般、特に進化生物学、人類進化、分子生物学、素粒子物理、物性物理、数学などの最先端と科学研究発展の歴史に興味を持つ。著書に『われら以外の人類』(朝日選書)など。【2015年10月WEBRONZA退任】

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