2013年02月13日
今回は、石器を実際に作ってみて作成中のヒトが一体何を考えていたか具体的に知ろうという研究を進めている実験考古学者、長井謙治氏(東北芸術工科大学芸術学部専任講師、取材当時は東京大学総合研究博物館特任研究員=写真)の実演付き講演を紹介しながら、石器研究の最前線をお伝えしたい。
「石器作りというのは、引き算しかできない。石を眺めて作りたい形を思い浮かべ、最適な角度で叩いてかけらを剥ぎ取り、次を考えてつくっていくんです」と長井さんはまず説明した。
材料は、「天然のガラスの塊」ともいえる黒曜石だ。割れ口は鋭利な刃状になる。うまくやればカミソリレベルの刃物まで作れる。割るための道具も、単に他の石でゴチンとやれば済むわけではない。鹿の角や硬い木材といういわゆるソフトハンマーは、打撃のショックが柔らかく広めの範囲に効果があり、大きなかけらを剥ぎ取ろうという時に使う。硬い石はもっと細かい修正に使える。
この日は、
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