2013年02月15日
何かものすごい技術革新があったように報道されているが、実は4K2Kディスプレイは10年も前から存在している。例えば、ビクターは2000年にすでに4K2Kパネルの開発に成功し、そのパネルを用いたプロジェクターも2004年に発売している。さらにいえば、このときすでに、さらに4倍の解像度をもつ8K4K(約8,000×4,000)のパネル開発にも成功している。経緯を知っている者からすると、4Kテレビはずい分遅い製品化に思える。
近頃、「スピード感を持って」という言葉がはやっている。うさん臭い言葉である。ただ、4Kテレビの報道に接すると、こういうときに使う言葉なのかな、とも思えてくる。つまり、もっと早い時期に商機を見出すことはできなかったのだろうか、という残念な疑問である。
私は電子ホログラフィという技術を用いた3次元テレビの研究を続けている。情報を記録しているものをホログラムといい、液晶ディスプレイ(LCD)を使って実験を行っている。ホログラムを表示するためには、LCDは高精細(画素間隔が狭い)であるほどよく、解像度(画素数)も多いほどよい。
電子ホログラフィの研究が本格的に始まったのは1990年代で、その頃のLCDは光を透過させて使う透過型がほとんどだった。ところが、透過型LCDでは、画素間隔が30ミクロン程度までしか高精細化できない状況にあった。電子ホログラフィで3次元テレビを実現するには1ミクロン以下の高精細化が必要だと見積もられているので、実験レベルにしても十分とはいえなかった。
1990年代の終わり頃になると、光を反射させて使う反射型LCDが進展してきて、数社で売り出し始めた。反射型LCDは制御回路を裏面に組み込めるので、表面の液晶素子は密に配置することが可能である。高精細化は一気に10ミクロンまで進んだ。
私たちはさっそく反射型LCDで実験する計画を立てた。ところが、反射型LCDはなかなか入手できなかった。はっきりいえば、
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