2013年02月18日
条約の芽は日本にもあった
欧州の長距離越境大気汚染条約の雛形に当たるのが「東アジア酸性雨モニタリング・ネットワーク(EANET)」という、酸性雨の原因物質の観測に関する国際共同観測網である。1992年の地球サミットの後、日本の環境庁(当時)のイニシアチブで専門家の情報交換の場として始まったものだが、環境省をはじめとする日本の稚拙な外交感覚などが災いし、その後の展開は、2010年の政府間会合でこの組織を強化する文書を採択した程度で、環境外交の国際組織という点からは、ほど遠い状態にある。
その最大の理由は、当初から中国が責任追及の場となることを恐れて、中心プレイヤーになることを避けてきたからである。それは短期的な中国の判断としてはやむをえないものあり、日本はこの点を十分踏まえた上で、EANETの国際政治上の意味を一歩一歩強化する方策をとるべきであった。
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