2013年02月20日
PSII複合体の良質な結晶づくりを手掛けた沈さんは、「20年かかったが、ついに私たちは世界一の結晶をつくりました。途中で世界一になったときは1年もたたずに欧州のグループに抜かれましたが、最終的に一番良い結晶をつくりだすことができました」と語った。結晶の構造解析を受けもった神谷さんは、巳年生まれの自分自身を「気が長い」として、「この研究は20年以上前に始めたものです。長いことやっていても、研究は思うようにいかないことのほうが多いが、今回のように急にステップが上がるときもあります」と、大きなブレークスルーを経ての成果だったことを強調した。
この複合体がかかわる光合成での水分解の全容解明には、パラパラ漫画のように反応ステップを次々と追いかけて、変化を突きとめていく必要がある。そのために沈さんたちは、今後も次のステップを明らかにする基礎研究を推し進めていくという。また神谷さんたちは未来のエネルギー源としての人工光合成実現に向けて、2030年を目標にした産学連携のロードマップを描いて走り出した。20年の歳月をかけて一つの成果を導いた二人の目は、さらに20年以上先を見据えているわけだ。
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