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ボーイング787とソフトウェアシステム開発の共通性

本位田真一 本位田真一(国立情報学研究所副所長/計算機科学)

飛べないボーイング787が世界には50 機ある。高松空港での発煙事故から1か月を経過した今も、いつ飛び立てるのか分からない。原因調査に時間がかかる理由は三つあると言われている。第一の要因は航空機が100万点以上の部品から構成されている複雑な構造物であること。第二の要因は787が本格的に電子制御式を採用して、その制御システムが複雑化していること。最後の要因は国際分業による生産体制をとっていて、調査方法のすり合わせなどに時間がかかること。

 最近の報道によれば、一つの不具合が発見された。運輸安全委員会が20日に「補助動力装置(APU)用のバッテリーとメーンバッテリーは本来はそれぞれ独立しているはずなのに、他の電気回路を経由してつながっていた」と発表したのである。ボーイング社は787の設計図をこれまで複数回改訂しており、配線の誤りに気付き、設計図を改めていた。しかし、発煙した全日空機は初期の設計のままだった。安全委は「発煙との関連性は低く、飛行中の機体の安全性に影響はなかった」としているが、、メーンバッテリーの出力電圧を計測するセンサーには異常配線による電流が影響を与えた可能性があるらしい。いずれにせよ、発煙の原因解明にはまだ時間がかかりそうだ。

 787と同様に「巨大な構造」「複雑な制御構造」「国際分散開発」という問題を抱えているのが、社会基盤として我々の日常生活を支えているソフトウェアシステムである。問題を抱えながら日々開発が進んでいる。もちろん、

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