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闇は照射されたか〜上祐史浩『オウム事件17年目の告白』

下條信輔 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授

昨年末に出た上祐史浩著『オウム事件17年目の告白』(扶桑社)が、静かに売れているらしい。オウム事件関係の類書の中で「もっともよく整理され」「もっとも深く突き詰めている」と評価が高い。事件の経緯についていくつもの新事実が語られているが、何と言っても麻原と若い信者たちの心理を、内側から分析したのが出色だ。

 ただ上祐氏(以下敬称略)といえば、かつて「ああ言えば上祐」と揶揄(やゆ)された二枚舌だ。幹部の中でただひとり警察・検察の追及の手から逃れた人物、というイメージも強い。そんな人物の言い分を丸ごと信用していいのか。そういう戸惑いも見受けられる(「検証」役として巻末で対論している有田芳生氏も含めて)。

 筆者はといえば、かねてから抱えていた謎を解く、大きなヒントを本書から与えられた。インパクトが大きかったので書き留めておきたい。

 だがその前にまず、本書の中身を安易に信用していいのか、という点について、筆者のスタンスを明確にしておこう。 ・・・ログインして読む
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筆者

下條信輔

下條信輔(しもじょう・しんすけ) 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授

カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授。認知神経科学者として日米をまたにかけて活躍する。1978年東大文学部心理学科卒、マサチューセッツ工科大学でPh.D.取得。東大教養学部助教授などを経て98年から現職。著書に『サブリミナル・インパクト』(ちくま新書)『〈意識〉とは何だろうか』(講談社現代新書)など。

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