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続:闇は照射されたか〜若者の未熟な自尊心をくすぐった教祖

下條信輔 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授

上祐は自分が麻原にのめり込んで行った経緯を、次のように語っている。「自分はなぜか、早くから麻原に特別扱いされた。一介の大学院生である自分が、麻原に高く評価されたことに興奮した。」また後には「男性の弟子として最初に解脱者に認定された。」その時に与えられた「マイトレーヤ」というホーリーネームも「弥勒菩薩」の意味で、特別格上のネーミングと受け取れた。

 こういう扱われ方を通して、上祐は麻原に自己の価値を認められたと感じ、次第に麻原に傾倒していった。

 これはひとり上祐だけのケースではなさそうだ。同じく幹部だった早川紀代秀も、脱会後の著書でよく似た述懐をしているという。

 そういう自分たちの体験を一般化して、上祐は次のように解説する。「経済成長重視の競争社会である現代は、自己の存在価値が感じにくい時代。」「そうした若者たちの心の渇きを、麻原の言葉は、悪い形で満たした。麻原に帰依すれば、ほかではあり得ないほどに『偉大な自分になれる』と錯覚させた。」

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