下條信輔(しもじょう・しんすけ) 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授
カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授。認知神経科学者として日米をまたにかけて活躍する。1978年東大文学部心理学科卒、マサチューセッツ工科大学でPh.D.取得。東大教養学部助教授などを経て98年から現職。著書に『サブリミナル・インパクト』(ちくま新書)『〈意識〉とは何だろうか』(講談社現代新書)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
これが、前稿から引き継いだ第二の疑問だった。
この件については、筆者もかねてから一応の見解は持っており、公表したこともある。それはつまり「毒ガス攻撃がある」「ハルマゲドンが起きる」という事態そのものに、次第に注意が集中して行った。それを誰が起こすかは途中からは問題でなくなった。そういうことだ。
妙な喩(たと)えだが、野球で「次のバッターは内角高めがホームランコース、そこへだけは投げるな」と投手がコーチから厳重に注意されたとする。ところが気の小さい投手はそこを避けようとするあまり腕が縮み、魅入られたカエルのように球がそのコースへ行ってしまう。
このように極度に集中させられた妄想は、ほんの一押しで自己達成予言的な様相を帯びてくる。
この見解は必ずしも外れてはいなかったが、より明快な解が本書に示されていた。以下に引用する。
「麻原によれば、“預言”と“予言”は違う。予言は自ずと起こるものを言うが、預言は神の意志を示すもので、信者がその実現に努力すべきものとされた。」「預言とは計画なのだ。」
寡聞にして知らなかったが、
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