2013年03月19日
もっとも、オーロラは太陽活動の極大から数年後までピークの状態が続くのが普通だから、極大だけが見えやすいという言い方は厳密性に欠けるが、元々誤差の多い確率の話に厳密さを求めるのも野暮な話なので、極大期がオーロラのピークだという大雑把な言い方をするのが普通だ。実際、オーロラ観光客が今年は急増している。
ところが、肝心の太陽活動極大期が今回はどうにも様子がおかしい。確かに黒点の数や太陽電波は多少増えたのだが、他の極大期に比べて非常に少ないのだ。黒点数の観測は250年以上の歴史があるが、それによると100年ぶりといえる低調な活動だ。太陽や太陽風による電離層への影響、例えばオーロラの頻度や地磁気の変動となると、1980年代や1990年代の極小期並みに活動が低い。つまり、オーロラ活動や地磁気活動の低さは、太陽黒点数の少なさだけでは説明できないほどに極端なのだ。例えば私が管理している磁力計での変動だが、図の黄色の部分で比較すれば分かるように、50年以上前から始まった観測史上で、他の極小期を差し置いて2番目に活動度が低い。
こういう異常に対し、一番初めにしなければならないのは観測データをきちんと取ることである。いくら「予想」「シミュレーション」をしたところで、それは既知のデータを元にした想像に過ぎず、未経験の現象には役に立たない。下手をすると対応を誤らせる可能性すらある。だから、この種の地球現象に関する国際組織であるSCOSTEP(The Scientific Committee on Solar Terrestrial Physics:太陽地球系物理学・科学委員会)も、太陽極大期の地球に対する影響をきちんとデータに取って研究することを、つい1月に文書で推奨したばかりだ。
しかし、
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