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太陽黒点数が約11年周期で増減することはかなり広く知られていると思う。それに伴い、太陽からの紫外線・電磁波も増減する。ここまでは、昔から短波無線やラジオの関係者の常識だったし、今ではオーロラ観光などで宣伝されたりしている。

 もっとも、オーロラは太陽活動の極大から数年後までピークの状態が続くのが普通だから、極大だけが見えやすいという言い方は厳密性に欠けるが、元々誤差の多い確率の話に厳密さを求めるのも野暮な話なので、極大期がオーロラのピークだという大雑把な言い方をするのが普通だ。実際、オーロラ観光客が今年は急増している。

拡大太陽活動の指標である太陽黒点数(上)と、スウェーデンのキルナで地磁気K指数(3時間ごとの地磁気活動の強さを0から9に分けたもの)が4以上になる確率(下)。K指数の4はおおむねオーロラに対応する。どちらの図でも、最近2年の値の幅を黄色で示す。それによると、現在の地磁気活動は、黒点数の極小の時期並みに低い事が分かる。

 ところが、肝心の太陽活動極大期が今回はどうにも様子がおかしい。確かに黒点の数や太陽電波は多少増えたのだが、他の極大期に比べて非常に少ないのだ。黒点数の観測は250年以上の歴史があるが、それによると100年ぶりといえる低調な活動だ。太陽や太陽風による電離層への影響、例えばオーロラの頻度や地磁気の変動となると、1980年代や1990年代の極小期並みに活動が低い。つまり、オーロラ活動や地磁気活動の低さは、太陽黒点数の少なさだけでは説明できないほどに極端なのだ。例えば私が管理している磁力計での変動だが、図の黄色の部分で比較すれば分かるように、50年以上前から始まった観測史上で、他の極小期を差し置いて2番目に活動度が低い。

 こういう異常に対し、一番初めにしなければならないのは観測データをきちんと取ることである。いくら「予想」「シミュレーション」をしたところで、それは既知のデータを元にした想像に過ぎず、未経験の現象には役に立たない。下手をすると対応を誤らせる可能性すらある。だから、この種の地球現象に関する国際組織であるSCOSTEP(The Scientific Committee on Solar Terrestrial Physics:太陽地球系物理学・科学委員会)も、太陽極大期の地球に対する影響をきちんとデータに取って研究することを、つい1月に文書で推奨したばかりだ。

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筆者

山内正敏

山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。

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