山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員
スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
この翻訳版の下訳は、私の呼びかけに賛同した20余人のボランティアがあたった。私がこの報告書を知ったのは福島事故から1ヶ月半後だった。放射能による環境汚染問題を地球科学・地球工学の問題として捉えた有志が事故の3週間後に立ち上げた、メール・フォーラムの中で紹介されたのだ。他の資料と比べて、この報告書が最も重要で役に立つと判断して、日本語に訳そうと呼びかけたのだった。
報告書を書いたのはチェルノブイリで被害を被ったベラルーシ・ウクライナ・ロシア3ヶ国の代表と国連が招集した科学者たちだ。そのきっかけは、国連科学委員会(UNSCEAR)の出した2000年の報告書が余りに放射能被害を軽視していて、ベラルーシ、ロシア、ウクライナ3ヶ国の代表が腹を立てたことにある。この時の非難を受けて設立された国連チェルノブイリ・フォーラムには、ベラルーシ・ウクライナ・ロシア3ヶ国の科学者が積極的に参加しており、広範な汚染地域の20年に渡る膨大なデータに基づく研究成果が網羅された報告書ができた。その内容をつかんでいただくために目次を引用する。この目次を一覧するだけでも、いかに優れた虎の巻であるかが分かるだろう。
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