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[11]ようやく公開されるチェルノブイリフォーラム報告書の日本語版

山内正敏 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

福島事故のあと、農林水産業などの専門家の多くが放射能対策の為に参考にした虎の巻がある。国連チェルノブイリ・フォーラムの報告書『チェルノブイリ20年:原発事故の環境への影響とその対策』 (Environmental Consequences of the Chernobyl Accident and Their Remediation: Twenty Years of Experience)だ。英文2段組180ページ、図が100枚という本格的な報告書で出版は2006年だ。その翻訳が学術会議から近々公表される見通しがついた。学術会議のホームページから無料でダウンロードできる他、非売品として1000部印刷することになっている。その配布先は学術会議の方で調整中だが、非営利目的である限り、ダウンロード版を印刷して配布するのは自由だ。
拡大国連チェルノブイリ・フォーラムの報告書の表紙

 

 この翻訳版の下訳は、私の呼びかけに賛同した20余人のボランティアがあたった。私がこの報告書を知ったのは福島事故から1ヶ月半後だった。放射能による環境汚染問題を地球科学・地球工学の問題として捉えた有志が事故の3週間後に立ち上げた、メール・フォーラムの中で紹介されたのだ。他の資料と比べて、この報告書が最も重要で役に立つと判断して、日本語に訳そうと呼びかけたのだった。

 

 報告書を書いたのはチェルノブイリで被害を被ったベラルーシ・ウクライナ・ロシア3ヶ国の代表と国連が招集した科学者たちだ。そのきっかけは、国連科学委員会(UNSCEAR)の出した2000年の報告書が余りに放射能被害を軽視していて、ベラルーシ、ロシア、ウクライナ3ヶ国の代表が腹を立てたことにある。この時の非難を受けて設立された国連チェルノブイリ・フォーラムには、ベラルーシ・ウクライナ・ロシア3ヶ国の科学者が積極的に参加しており、広範な汚染地域の20年に渡る膨大なデータに基づく研究成果が網羅された報告書ができた。その内容をつかんでいただくために目次を引用する。この目次を一覧するだけでも、いかに優れた虎の巻であるかが分かるだろう。 ・・・ログインして読む
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筆者

山内正敏

山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。

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