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[12]続・ようやく公開されるチェルノブイリフォーラム報告書の日本語版

山内正敏 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

国連組織の文書を翻訳するには、加盟各国の政府が、政府の文書として件の組織(今の場合IAEA)に申請しなければならない。その上で、政府が翻訳の正確さを保証し、非売品として予め印刷する部数を決めるなど、多くの条件がつく。要するに非常に時間のかかるシステムだ。

 

 もちろん、個人的な翻訳を個人的に渡して問題ないことは、IAEAの出版部に直接問い合わせて確認している。実はボランティア版が完成したとき、ネットで公開することも考えた。無許可の個人的な試訳ということと、著作権がIAEAにあることを明記すれば、おそらくIAEA側は黙認してくれるだろう。そして著作権法が親告罪である限り、我々は訴えられることも警察に捕まることもないだろう。除染問題で2011年夏に国会で証言した児玉龍彦氏ではないが、違法行為が必要な事態だったのだ。しかし、そういうフライング行為が、学術会議とIAEAとの交渉を妨げる可能性がある。しかも、おせっかいな第三者が、善意悪意を問わず、著作権云々と騒ぎ立てるリスクもある。そうなったら、ただでさえボランティアで余暇を失っている私達は、時間を更に削られるのだ。

 

 ちなみに、関税問題として話題になっているTPPでも著作権の条項があり、その原案に「著作権違反の非親告罪化」というのがある。もしもそんな事態になったら、

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