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「国会事故調の意義を日本人はわかっていない」-委員長・黒川清さんのロングインタビュー(上) 

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

今回から3回連続で、東京電力福島第一原発の国会事故調査委員会で委員長を務めた黒川清・元日本学術会議会長のインタビュー記事をお届けする。黒川さんは「原発事故の原因究明に向けた調査に使命感をもって臨んだ」などとして、米科学振興協会(AAAS)の「科学の自由と責任賞」に選ばれ、2月に米ボストンで賞を授与された。国会事故調の仕事を、世界の科学界は高く評価したのである。「それなのに日本の反応は・・」と黒川さんは嘆く。国会事故調はほかの事故調とどこが違うのか、その意義が理解されていないというのだ。黒川さんの思いの丈をお伝えする。
黒川清さん=政策研究大学院大学の研究室で

――受賞おめでとうございます。

黒川 ありがとうございます。

――米ボストンでの授賞式はいかがでしたか?

黒川 旧知の人に大勢会ったけど、皆、国会事故調の報告書を「すごくいいレポートだ」って言ってくれましたね。これだけのことはっきり言うっていうのはなかなか大変だろうって。2年前の福島原発事故のときは、世界が注視する中で日本の信頼がなくなったと思った。世界で第3位の経済大国で、しかも科学技術とエンジニアが非常に強いっていう評判の日本で、あの大災害とはいえ原発事故が起こった。みんなびっくりしたわけです。しかも今は、テレビでもネットでもみんな見られるでしょ。記者会見を見てたら、なんかはっきり言わない、なにか隠している、と。だからもう1週間で信用なくなっちゃったね、たぶん。

――国会事故調の報告書が英語で発信されたことで、失墜した日本の信用が回復できたんでしょうか。

黒川 いや、それは

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