2013年03月16日
アフリカ諸国は植民地時代に引かれた国境を独立後も維持していることが多く、同一民族が国境をまたがって暮らしている。多くの国が多民族国家でさまざまな文化や慣習が入り混じる。国境周辺で民族間や政治的な紛争が頻発し、その調停や解消に各国は頭を悩ませている。そのための手段として、国境周辺の地域を自然保護区にして一般人の立ち入りを禁じ、複数の国で協力して管理しようというのがこれらの国境を接する保護区設立の狙いだった。
これまでいろいろとトラブルもあった。国境をまたぐ保護区は紛争の際に兵士や難民が流入する避難場所となったし、国際取引が禁止されている象牙やサイの角などの密輸ルートにされたこともある。しかし、これらの保護区は未だに消滅することなく維持されている。
それは、これらの保護区を国際的な協力のもとに守ろうとする強い意志が働いているからだ。1979年に締結されたボン条約は長距離を移動する動物を保護することを目的としている。このボン条約によって2009年はゴリラ年と指定された。ゴリラの分布域は狭く、決して長距離を移動するわけではないが,これらの保護区で国境を行き来して暮らしている。絶滅の危機に瀕しているゴリラを救うためには複数の国が協力しなければならないので、ボン条約を適用したというわけだ。
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