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子宮頸がんワクチンに物申す

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

2年前に「最新 子宮頸がん予防 ワクチンと検診の正しい受け方」(朝日新聞出版)を上梓した。「子宮頸がんワクチンを打つと不妊になる」という荒唐無稽な主張がネットで飛び交う一方、公費投入を求めるキャンペーンが「ワクチンさえ打てば頸がんを防げる」という幻想を広げていた状況に危機感を持ったからだ。子宮頸がんは予防可能だが、ワクチンだけでは完全には防げず、20代からの検診が欠かせない。逆にきちんと検診を続けていれば、ワクチンなしで予防できる。このワクチンが4月1日から定期接種化された。その直前に「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」が結成され、深刻な副作用があると声を上げた。副作用とワクチンの因果関係はまだはっきりしていないが、このワクチン、改めてメリット、デメリットを良く考えた方がいい。

 被害者連絡会は、3月25日に最初の記者会見を開いた。「予防接種法改正案が成立する前に副作用の実態を知ってほしい」という緊急会見だったが、改正案は3月30日に成立。そこで連絡会は4月8日に厚生労働省を訪れ、副作用の追跡調査などを求める嘆願書を提出し、改めて記者会見を開いた。朝日新聞はこの会見の様子を社会面で大きく報じた。

 今回の予防接種法改正では、子宮頸がんワクチンだけでなく、乳幼児の細菌性髄膜炎の原因になるインフルエンザ菌b型(ヒブ)と小児用肺炎球菌のワクチンも新たに定期接種化された。2010年度から暫定的に公費助成されてきた3ワクチンだ。定期接種化は、公費助成を一時的ではなく永続的な制度とし、副作用の被害が出た場合に手厚い補償制度の対象とするという意味合いを持つ。暫定的に公費助成するよりも、きちんと定期接種化した方が良いのは間違いない。

 だが、考えなければいけないのは、子宮頸がんワクチンを公費で接種すること自体の是非だ。空気感染し、後遺症を残したり死をもたらしたりする麻疹などの病気は、ワクチンを打って予防した方がいいというのが世界的なコンセンサスになっている。しかし、

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