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電王戦の衝撃(下)実社会に波及させたい

2013年第2回大会観戦記

北野宏明 ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長

 今後、より重要になってくるのは、コンピュータの技術開発やその応用という面から考えて、ここで達成された能力を実社会のどのような分野に生かしていくかということだろう。IBMは、チェスで人間のチャンピオンに勝利したDeep Blueを一つのステップとしつつもDeep Computing Projectを立ち上げ、新たなシステムを開発し、人気クイズ番組Jeopardy!に出場して勝利するシステムWATSONを開発し、その技術を医療分野へと応用しつつある。

 最先端の知的情報処理技術をめぐっては、最近ボストンで起こったテロ事件が思い浮かぶ。その捜査では、当局が関連画像の提供を呼びかけ、大量の画像データを解析したことが迅速な容疑者の割り出しにつながった。これなどは、その背後にある極めて知的な画像解析システムの存在なしには考えられないことである(同時に、少し怖いという感覚をもつことも否定できない)。

 すでに指摘しているが、コンピュータ将棋の開発には、技術面でも開発手法としても近年に急速に注目されている手法が盛り込まれている。

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筆者

北野宏明

北野宏明(きたの・ひろあき) ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長

ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長兼所長。1984年国際基督教大学教養学部理学科卒業後、日本電気に入社。88年米カーネギー・メロン大学客員研究員。91年、京都大学で博士号(工学)を取得。1993年ソニーコンピュータサイエンス研究所入社、犬型ロボットAIBOなどの開発にかかわった。2008年に現職。NPO法人システム・バイオロジー研究機構会長を兼務。Computers and Thought Award (1993)、ネイチャーメンター賞中堅キャリア賞(2009)などを受賞している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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