2013年05月07日
スーパーコロニーをつくるアリは、どのように敵味方を識別し、こうした常識外の営みをしているのか。そのしくみは、はっきりとはわかっていなかった。ところが昨年、神戸大学や北海道大学の研究チームが、エゾアカヤマアリのスーパーコロニー内のいくつかの巣で働きアリの体臭(体表面の炭化水素の組成)を比べて「地理的に離れた巣同士でも匂いが概してよく似ており、スーパーコロニーの外に営巣する同種のアリと比べると匂いの変化が少ないことがわかった」という研究成果を発表した。
特有の体臭で相手を感知して、敵と味方を区別するセンサー役の嗅覚感覚器は、アリの触角にある。そしてスーパーコロニー形成種の場合は、巣の違いではなく種の違いに敏感に反応するようにセンサーがセットされていて、同種に優しく異種に厳しい振る舞いをする変則ルールが適用されていることを突き止めたのだ。つまり、このような種では、働きアリどうしが攻撃し合うことなく近隣の巣の融合が起こることでスーパーコロニーがかたちづくられ、さらに拡大していく要因になったと考えられた。
こうしたスーパーコロニーを形成するアリが、原産地の外へ外来種として広がると、厄介なことが起こる。侵入した地域にすむ在来のアリを駆逐して生態系の破壊や種の多様性の低下を招いたり、人間の生活をも脅かす存在となったりして、侵略的外来種に位置づけられることさえある。
有料会員の方はログインページに進み、デジタル版のIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞社の言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください