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はじめに―日本人は休むときも他者同調的

 国連の社会権規約委員会が去る5月17日、日本政府に対して長時間労働や過労死に関する対策を強化するよう勧告したと伝えられている。国連の関連委員会がこうした勧告を日本に出すのは初めてとのことだ。

 この話題と関連することだが、ゴールデンウィークは風のように去り、すでに昔のことのように感じられる。いつもながら行楽地はどこへ行っても人であふれていたようだが、あらためて思うのは「日本人は休むときもみんな一緒でないと休まない(休めない)」ということである。

 思うに日本人は、本当はもっと休みをとりたいのである。地下鉄での人々の疲れ切った様子や表情を見ればよくわかる。しかし、日本の職場は「空気」が支配していて、他の人をおいて自分だけが休むことはなかなかできない。有給休暇がまともに消化されないのもその反映だ。だからこそ国民の祝日となり、「みんなも休む」となると、いわば休んでもよいという「許可」が得られたように感じ、人々は「安心して」休み各地に出かけるのだ。

 私はこうした日本人の習性を逆手にとって、次のような政策を強く提案したい。それは「国民の祝日を2倍にする」という単純な内容で、これは10年ほど前に『定常型社会』という拙著の中でも書いたことがあるが、今こそ、その意義が高まっていると感じる。

 これにはもちろん予算は一銭も要らず、したがって増税の必要もなく、しかし次に挙げるような、多方面にわたってきわめて大きな効果をもつ最強の「経済」政策になると考える。またそれは、「貨幣の量を増やす」ことを軸に経済成長を図ろうとするアベノミクスなどよりも、はるかに健全で有効な政策であると確信する。

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筆者

広井良典

広井良典(ひろい・よしのり) 京都大学こころの未来研究センター教授(公共政策・科学哲学)

1961年生まれ。84年東京大学教養学部卒業(科学史・科学哲学専攻)。厚生省勤務、千葉大学法政経学部教授を経て現職。この間、マサチューセッツ工科大学客員研究員。社会保障、医療、環境などをめぐる政策研究からケア、死生観などについての哲学的考察まで幅広く発信。『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書)で第9回大佛次郎論壇賞を受賞した。

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