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再生可能エネルギー固定価格買取制度の成果と課題

吉田文和 愛知学院大学経済学部教授(環境経済学)

 2012年7月からの再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の本格的発足で,新しい状況が生まれ,課題も明らかになりつつある。2013年2月までに、日本全国で運転開始した設備容量は合計166万kWであり、また認定を受けた設備容量は1306万kWになる。2011年までの累積導入量が約2000万kWであることと比較すると、FIT制度導入の効果がわかる。新規の導入量では、圧倒的に太陽光が多く、90%以上に上る。

拡大宗谷岬の風車群。利尻富士が見える

 FIT制度導入のもう1つの効果は、旧制度RPS法のもとでの再生可能エネルギー発電施設のFIT制度への切り替えによる買取価格の引き上げによる収入増である。風力発電の場合、FIT価格が23円/kWhになり、補助金額を差し引いても、RPS法と比べて、2-3倍の収入を得られることになる(写真参照)。バイオガス施設の場合、PRS法では昼間9.5円/kWh、夜間4.5円/kWhであったのがFIT制度の40円/kWhに切り替わる効果は大変大きい。北海道内でも、80近いPRS法の認定施設がFITへの切り替えを行ったとみられる。

しかし、同時に課題も多い。なによりも、新規に導入される再生可能エネルギーは、圧倒的に太陽光に偏っている。これは、各家庭や企業でも建物に設置しやすく、また大規模太陽光(メガソーラー)施設は、まとまった安価な土地と、日照条件が合えば、設置が比較的簡単だからである。その典型が北海道へのメガソーラーの立地計画であり、全国の認定申請の約27%を占める(2012年11月)。そのうち10メガ以上の規模は約80%が北海道外の法人によるものである。

 大規模ソーラー施設は、国産メーカーの比率も高く、予定施工業者(一次受け)は約3分の2が道外事業者である。認定された計画が2014年までに実行されることによる太陽光発電の建設投資総額は、1670億円(51万kwX32.5万円)と推定され、年間212億円(稼働率を12%と計算)の収入が業界に入ることになる。しかし、これは地元に入るわけではない(北海道経済産業局による)。

 もう1つの大きな課題は、電力会社によるメガソーラーの受け入れ条件である送電線拡大の問題である。北海道の場合、北海道電力による大規模太陽光発電の受付は、特別高圧連系の必要な出力2000kW以上が87件(156万kW、2013年3月末)あり、現在の接続容量とされる40万kWの4倍に相当する。しかも導入拡大が予想される風力発電の送電枠を先に大規模太陽光発電が占めてしまうことになる。

 こうした事態に対して、資源エネルギー庁は、「北海道における大規模太陽光発電の接続についての対応」(2013年4月17日)を公表し、(1)接続可能量拡大のための特定地域に限った接続条件の改正(30日超えの出力抑制の補償規定を外す)、(2)大型蓄電池の変電所への世界発導入による再エネ受け入れ枠の拡大、(3)電力システム改革に則った広域系統運用の拡大、の3つの対応を

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筆者

吉田文和

吉田文和(よしだ・ふみかず) 愛知学院大学経済学部教授(環境経済学)

1950年生まれ、兵庫県出身、京都大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。北海道大学大学院経済学研究科教授を経て2015年から現職。北大名誉教授。専門は、環境経済学、産業技術論、主著『ハイテク汚染』岩波新書、『環境経済学講義』岩波書店、最近は低炭素経済と再生可能エネルギーの普及に関心を持つ。札幌郊外の野幌原始林の近くに住み、自然観察と散歩を趣味とする。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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