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 七夕伝説の中の「天の川と言う障害を年に1度だけ乗り越えられる」という部分が自然現象から生まれたとするなら、それはどのような現象か? 前稿では白夜との関係を考察し、無理らしいと説明した。となると有力なのは、天の川の上の橋や舟に対応する発光現象だ。

 夜空には発光現象は数多くあるが、その中から、立秋前後に限る珍しい現象に絞ることが先決だ。例えば流星とオーロラは、橋や舟に見立てるには確かに適しているが、立秋に限らない現象だ。特に流星は多くの人が知っているから、珍しさという意味で伝説になりにくい。それは月にも当てはまる。旧暦7日が象徴する半月は、舟にも似た形から七夕伝説で取り沙汰されることがある。しかし後付けの説明である可能性が高い。というのも、1カ月違いで似通った月が天の川にかかるし、3000年〜4000年前の夜空では、立秋の半月は織女星・牽牛星から離れていたからだ。立秋の半月は地軸の傾きの影響で立冬の太陽に似た軌道をとる。しかも大昔の両星は前稿で説明した歳差運動で今よりも北に位置していた。交わりようがないのだ。

 これらよりは珍しい現象として彗星がある。しかし、2年続けて同じ季節に空の同じ位置に同じ彗星が来ることは彗星の軌道としてありえない。そして、2つの異なる彗星が、たまたま2年続けて立秋に地球に大接近した可能性となると、まさに天文学的に低い。残る候補は ・・・ログインして読む
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筆者

山内正敏

山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。

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