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日米の大学の圧倒的な差はどこから来るのか

大栗博司 東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構長 、 カリフォルニア工科大学教授 ・理論物理学研究所所長

 今月からWEBRONZAの執筆陣に加えていただいたので、自己紹介もかねて、日米の大学の比較について書いてみる。もちろん、2000字程度では語りきれる話題ではないので、今回はほんのアペリティフである。

 私は1994年にカリフォルニア大学バークレイ校の教授になり、2000年からはカリフォルニア工科大学に移籍したので、米国を教鞭を執って20年近くになる。米国は製造業では30-40年前に日本の挑戦を受け、ハイテク産業の地位も必ずしも安泰ではないが、高等教育では現在も圧倒的な国際競争力を持っている。英国の教育専門誌『タイムズ・ハイヤー・エデュケーション』が昨年10月に発表した世界大学ランキングでは、ベストテンの内の7校が米国の大学であった(ちなみに、私の所属するカリフォルニア工科大学は1位、東京大学は27位であった)。英語が公用語になりつつある世界において、英語圏の大学が有利であることは事実である。しかし、米国の大学の優位の理由は言語のおかげだけではないと思う。

 私の経験は、日本では東京大学と京都大学、米国では上記の大学のほかには、ハーバード大学、プリンストン大学とシカゴ大学という研究大学に限られていることをお断りしておく。これらの大学にあって私が特に強い印象を受けたのは、米国の大学生のほうが、平均的には、より熱心に勉強をしているということである。それはなぜであろうか。

 ひとつ明らかなことは、

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