2013年09月03日
作家・真山仁氏のインタビューを続ける。
――今年になって地熱発電に関する新書『地熱が日本を救う』を書きましたね。
これからはエネルギーの奪い合いが始まる。地球温暖化の問題もある。革新的に発電方法を変えなくてはいけない時期がそう遠からず出て来るだろう。だとしたら、代替エネルギー、特にベースロードを担える発電方法をもっと普及させなければいけない。小説家は小説だけで言いたいことを言うべきだと思っていますが、地熱の話だけはいくらでもインタビューに応じて、講演にも行った。大学の一般教養で『マグマ』を教科書にしてくれたので、授業にも行った。一人で旗を振っていました。
地熱が再び注目された2011年秋、超党派の国会議員による地熱促進議連ができて講演に呼ばれた。みんなから「『マグマ』を読んでいる」と言われました。「この通りでいいのか」とも聞かれた。小説以外は出さないつもりでしたが、事実だけを集めたわかりやすい新書を書こうと思いました。だれかが、ちゃんと地熱発電を紹介すべきだと考えたのです。
――一般向けの地熱の本はほとんどありませんでした。
真山 震災後に2冊ぐらいでましたけど、難しかったり、専門的すぎたりして、「何で太陽や風力じゃなくて地熱なのか」についての説明がない。地熱発電のように発電量が一定している電源でない限り、原発の代わりにはならない。太陽や風力は天候次第なので、強力な電池ができなければ、電気の量と質のコントロールは難しい。
電気については受け身でいいと思っている人がすごく多い。スイッチを入れればつく。停電すれば怒ればいい。落雷して、1時間の停電でも許さない。こんなにうるさいのは日本だけですよ。欧米はしょっちゅう停電する。そこから説明しないと、「なぜ地熱なのか」という議論にならない。
――原発事故以降、3度目の地熱ブームと言われますが、日本に地熱は根付くと思いますか。
ところが、いざ動き始めると、
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