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懐疑派を黙らせられるか IPCC第5次評価報告書

石井徹 朝日新聞編集委員(環境、エネルギー)

記者会見で報告書を公表するIPCCのメンバーら=9月27日、ストックホルム、須藤大輔撮影記者会見で報告書を公表するIPCCのメンバーら=9月27日、ストックホルム、須藤大輔撮影
 国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)第1作業部会の第5次評価報告書(AR5)が9月27日、スウェーデン・ストックホルムの総会で承認された。前回の報告書から6年、この間、IPCCは激しい毀誉褒貶にさらされた。科学的な基盤が揺らいだわけではないが、地球温暖化に否定的、懐疑的な人たちからの批判に、防戦一方の時期もあった。今回も発表前のドラフト段階で、様々な動きがあった。温暖化の原因が人間活動である可能性を95%以上まで引き上げた今回の報告書は、無益な論争に決着をつけ、懐疑派を黙らせることができるのか。

  「否定派は証拠をねじ曲げるな」。ペンシルベニア州立大学の気候学者マイケル・マン氏は、ブログで訴えている。2001年の第3次評価報告書で、過去1000年の気温変化をグラフ化した「ホッケースティック曲線」が攻撃の的になった。今回の報告書への攻撃は、2タイプあるという。「深刻さの度合いが減少した」という指摘と、「事実をゆがめている」という指摘だ。  

 前者については、「前回の報告書では、温室効果ガスの濃度と気温上昇の関係を過大に見積もっていたので、今回はもっと緩やかにする」と盛んに喧伝された。大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が2倍になった場合、世界平均の地上気温がどれだけ上昇するかという研究で、「気候感度」と呼ばれる。報告書は

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