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2020年にサイボーグ五輪を開催しよう

稲見昌彦 東京大学先端科学技術研究センター教授

 2020年のオリンピック、パラリンピックを東京で開催することが決まった。根っからの運動音痴であり、まともに続いたスポーツは皆無の筆者ではあるが、世界的なスポーツの祭典が日本で開かれることを喜びたい。そして、この機会に提案したいことがある。ハイテク、ポップカルチャー先進国と言われている日本発のイベント「サイボーグ五輪」を東京五輪に併せて開催することだ。先のロンドンオリンピックでは、スポーツに関するイベントだけでなく、様々な文化イベントが開催され、多様な背景の人々を巻き込みつつオリンピックを盛り上げた。東京でも同じように多くの文化イベントが企画されるだろうが、筆者としては、日本ならではのユニークな「サイボーグ五輪」を強く推したい。

 スポーツはプレーすることも、応援することも楽しいイベントである。しかし、楽しむに至るまでに必要な基礎練習の時間は多大である。さらに体力的なハンデキャップ、体格や年齢による身体能力の差などが大きい。現状では、スキルや体重、性別ごとにグループを分ける、つまり均質な集団ごとに分離することでゲームとしての楽しさを保っている。

 例えばゴルフはハンデを設けることで多様なスキルの参加者が楽しめるようになっているが、ハンデを与えるのではなく、技術的に積極的に身体能力を支援することで、多くの参加者が一緒にスポーツを楽しむことができないか。それを目指すのが「サイボーグ五輪」だ。

 サイボーグ五輪とは、

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