稲見昌彦(いなみ・まさひこ) 東京大学先端科学技術研究センター教授
1972年東京生まれ。99年東京大学大学院工学系研究科修了博士(工学)。マサチューセッツ工科大学客員科学者、電気通信大学教授、慶応大学教授などを経て現職。強化人間、自在化技術、エンタテインメント工学に興味を持つ。光学迷彩、動体視力増強装置など、空想と科学を繋ぐ技術を多数開発。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
2020年のオリンピック、パラリンピックを東京で開催することが決まった。根っからの運動音痴であり、まともに続いたスポーツは皆無の筆者ではあるが、世界的なスポーツの祭典が日本で開かれることを喜びたい。そして、この機会に提案したいことがある。ハイテク、ポップカルチャー先進国と言われている日本発のイベント「サイボーグ五輪」を東京五輪に併せて開催することだ。先のロンドンオリンピックでは、スポーツに関するイベントだけでなく、様々な文化イベントが開催され、多様な背景の人々を巻き込みつつオリンピックを盛り上げた。東京でも同じように多くの文化イベントが企画されるだろうが、筆者としては、日本ならではのユニークな「サイボーグ五輪」を強く推したい。
スポーツはプレーすることも、応援することも楽しいイベントである。しかし、楽しむに至るまでに必要な基礎練習の時間は多大である。さらに体力的なハンデキャップ、体格や年齢による身体能力の差などが大きい。現状では、スキルや体重、性別ごとにグループを分ける、つまり均質な集団ごとに分離することでゲームとしての楽しさを保っている。
例えばゴルフはハンデを設けることで多様なスキルの参加者が楽しめるようになっているが、ハンデを与えるのではなく、技術的に積極的に身体能力を支援することで、多くの参加者が一緒にスポーツを楽しむことができないか。それを目指すのが「サイボーグ五輪」だ。
サイボーグ五輪とは、
論座ではこんな記事も人気です。もう読みましたか?