【退任】1983年、朝日新聞入社。「メディカル朝日」次長、「朝日パソコン」次長、「ドアーズ」編集長、「朝日ジュニア百科年鑑」編集長などを経て、09年から2014年5月まで科学医療部・DO科学編集長。物理や宇宙などハードサイエンスを主に取材。趣味で、人はなぜ正統科学よりも疑似科学のほうに引かれていくのかを調査研究。その方面の著書も多数。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
当日の朝日新聞の解説欄では、この辺りを説明をしようと試みたのですが、行数が短く削られ、かなり中途半端な記事になってしまいました。ただでさえ分かりにくい話なのに、さらに舌足らずになってしまい、申し訳ありませんでした。そこで今回は、WEBRONZAの場を借りて、そこらの解説を再び試みたいと思います。
私が、ヒッグス粒子に対して持った最初の疑問は、「質量なんて世界の初めからあったことにすればいいだけじゃないのか」ということでした。現在の宇宙論では、宇宙誕生の大爆発・ビッグバンの当初はモノに質量はなく、1000億分の1秒ほど経った後に、ヒッグス粒子が忽然と現れて質量が生まれた、というストーリー展開になっています。ですが、なんでそんな持って回った考え方をする必要があるのか、ということがわからなかったのです。