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「三国志」の生物学 ~曹操のY染色体とSNPの話(下)~

武村政春 東京理科大学准教授(生物教育学・分子生物学)

昨日(19日)の「三国志」の生物学 ~曹操のY染色体とSNPの話(上)~の後編です。

 さて、曹操の一族である。

 まず彼らは、このO系統に属するY染色体のうち、O2というハプロタイプのものをもつ可能性が高いらしい。O2は、O系統の4つのSNP以外に、P31というSNPを持つハプロタイプだ。

 2012年の復旦大学による論文では、特にその中でも「O2-M268」というハプロタイプのY染色体が、曹操の一族に特有のものである可能性が高い、と結論づけている1)。

 これは、曹操の末裔であると主張する人たちと、同じ曹姓であってもそう主張しない人たち、別姓の人たちの3つのグループのY染色体を解析した結果、曹操の末裔であると主張する人たちのみに特異的に存在するハプロタイプが「O2-M268」だったからである。

 すなわち曹操の一族は、O2に特徴的なSNPに加え、新たにM268というSNPを持つY染色体を持っているのではないか、というわけだ。

 確かに、論文のデータを見ると、きちんとした統計処理をした上で、有意にO2-M268が曹操の末裔(と主張する人たち)の間に広まっていることが示されている1)。

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筆者

武村政春

武村政春(たけむら・まさはる) 東京理科大学准教授(生物教育学・分子生物学)

東京理科大学大学院科学教育研究科准教授。1969年三重県生まれ。1998年名古屋大学大学院医学研究科博士課程修了。博士(医学)。名古屋大、三重大の助手等を経て現職。専門は生物教育学、分子生物学、細胞進化学。著書に「レプリカ~文化と進化の複製博物館」(工作舎)など多数。【2015年10月WEBRONZA退任】

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