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統計数理研究所に滞在してみてわかったこと

中村多美子 弁護士(家族法、「科学と法」)

 WEBRONZAで原稿を書かせていただくようになって、もう3年近くになる。このご縁のお陰で、今年、思いもよらず日本数学会のJournalist in Residence in Mathematics(JIR、ジャーナリスト・イン・レジデンス)という企画に参加することになった。これは、数学という学問の営みを、専門家でない人々に伝えるというアウトリーチ活動の一つである。アウトリーチ活動として特徴的なのは、(1)滞在型である、ということと、(2)数学の研究者自らがアウトリーチを行うのではなく専門外の人にやってもらう、という点である。

 JIRでは、滞在する側がどの研究機関に行くか希望を出すことができる。私が真っ先に希望したのは、統計数理研究所だった。

 統計と聞くと法律家は、ディズレーリが言ったとされる言葉を思うかべるかもしれない。「嘘には3つの嘘がある。嘘、ひどい嘘、そして統計だ。(There are three kinds of lies; lies, damned lies, and Statistics.)」

 三百代言とか詭弁家とか揶揄されることの多い弁護士としても、そんなふうにいわれる統計に親近感を持つ部分もあるのだが、まじめな話、私が応用数学である統計学に長く関心を持ってきたのは、法実務で「統計」がちらちら顔を出しているように思われることと、そのことに多くの法律家が自覚的でないように思えたからである。

 法と統計に関する個別の話題はさておき、私の

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筆者

中村多美子

中村多美子(なかむら・たみこ) 弁護士(家族法、「科学と法」)

弁護士(大分県弁護士会)。1989年京都大学農学部入学、翌年法学部に転入学。95年司法試験合格。京都大学博士(法学)。関心領域は、家族法や子どもの権利、そして「科学と法」。09年度から始まった科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センターの「不確実な科学的状況での法的意思決定」プロジェクト代表を務めた。日弁連家事法制委員会委員、大分県土地収用委員会会長、原 子力発電環境整備機構評議員。【2017年3月WEBRONZA退任】

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