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京都の数学研究所ネットワークが産んだ数学

内村直之 科学ジャーナリスト

京都大学数理解析研究所という小さな数学の研究所で人生を交差させた数学者たちをテーマに、『古都がはぐくむ現代数学 京大数理解析研につどう人々』(日本評論社)という一冊を作った。人名索引を巻末につけたのだが、本が出来上がってホッとした今、その索引にあがった人名の数を数えてみたら、約350人いた。その多さに私自身、ちょっとびっくりした。本の中で詳しく取り上げた数学者は20人ほどだから、一人当たり10数人の関係者を取り上げたことになる。 

拡大京都大学数理解析研究所。ひたすら静かなところである=京都市左京区の京都大学
 いや、関係した人たちは本当はこんな数ではないだろう。一人の数学者の周りには、数十人の別の数学者(物理学者が含まれることもあるだろう)がいるはずだ。基礎科学というものは(もちろん、その火種は一人の発想である場合が多いが)、そういう何人ものネットワークの中で大きな発展が醸し出される。
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筆者

内村直之

内村直之(うちむら・なおゆき) 科学ジャーナリスト

科学ジャーナリスト。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程満期退学。1981年、朝日新聞入社。福井、浦和支局を経て、科学部、西部本社社会部、科学朝日、朝日パソコン、メディカル朝日などで科学記者、編集者として勤務し、2012年4月からフリーランス。興味は、基礎科学全般、特に進化生物学、人類進化、分子生物学、素粒子物理、物性物理、数学などの最先端と科学研究発展の歴史に興味を持つ。著書に『われら以外の人類』(朝日選書)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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