2013年12月04日
せっかちな性格に似合わず、前作『ベーリンジアの記憶』(幻冬舎、現在は電子版として自家復刊)以来、取材期間を含めて18年も温めた作品だが、それだけ時間が経つと時代の変化によって内容のアップデートを迫られることがいくつかあった(ちなみに、そろそろ40年に近づく物書きのキャリアで80冊を超えた著訳書のうち、フィクションの自著はこの2作のみ)。
一つは登場人物たちが使うモバイル端末の変化だ。最初は旧式の指押しケータイで、パソコンもネット環境はISDN(若い人は知らないだろう)。旅先でメールをダウンロードするには、公衆電話のISDN端子につなぐなどという詳細を書き込んだりしていた。ややしばらくすると、ブラックベリーなるものが一世を風靡し、海外の友人にはそれを駆使させることにした。やがてそれも古くなり、
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