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あれ? 可決しちゃうの? その「産業競争力強化法案」

湯之上隆 コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

 国会で「産業競争力強化法案」に審議が始まろうとする11月6日(水)、民主党主催の政策会議で、国会議員や経済産業省の役人たちを相手に、「日本型モノづくりの敗北」と題する講演を行った(WEBRONZA2013年11月13日)。

 講演では、ここ数年で大崩壊してしまった半導体や電機産業を例に挙げて、今までと同じことをやっていても産業競争力は向上しないこと、政府や官僚が介入を強化しようとする「産業競争力強化法案」は無力であることを訴えた。そして、国会議員や経産省役人に、ガツンと一発、ゲンコツを食らわせた…はずだったのだが、この法案は11月15日にすんなり衆院を通過してしまった。そして、12月4~5日には参院も通過して法案が成立する見込みだという。

 はて?どうして?

拡大日本維新の会が棄権、民主党などが反対するなか、特定秘密保護法案を可決した衆院本会議=11月26日午後8時11分

 そもそも、この法案は、アベノミクスの第3の矢「成長戦略」の根幹をなすものであり、この国会で徹底的に審議されるはずだったのではないか? それなのに、なぜこんなに簡単に衆参を通過してしまうのだろう?

 どうもその原因は、「特定秘密保護法案」があまりにも注目され過ぎてしまったことにあるようだ。この法案では、秘密の範囲が良く分からず、第三者機関の設置や情報公開のルールも明確にされていないのに、衆院で強行採決されてしまった。これが世間の耳目を集めたため、新聞もテレビも、連日この話題を伝え続けてきた。その結果、「特定秘密保護法案」がこの国会の主役となり、日陰者となった「産業競争力強化法案」が誰の注目も浴びることなく衆院を通過したのではないか。

 それでいいのか? 良くないと思うのだが。

 筆者が一番懸念するのは、

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筆者

湯之上隆

湯之上隆(ゆのがみ・たかし) コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

1987年京大修士卒、工学博士。日立などで半導体技術者を16年経験した後、同志社大学で半導体産業の社会科学研究に取り組む。現在は微細加工研究所の所長としてコンサルタント、講演、各種雑誌への寄稿を続ける。著書に『日本半導体敗戦』(光文社)、『電機・半導体大崩壊の教訓』(日本文芸社)、『日本型モノづくりの敗北-零戦・半導体・テレビ-』(文書新書)。趣味はSCUBA Diving(インストラクター)とヨガ。 【2016年8月WEBRONZA退任】

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